3Dプリンターは日々目覚ましい進化を遂げています。これだけの金額感でこんなものが手軽に作れてしまうのかと、目を見開いて驚くニュースが日常茶飯事に発信されています。具体的には、従来の製造装置の約1/10の装置価格ほどで、材料費も非常に安いことが挙げられます。主にアメリカ、日本、中国でこの手のニュースは非常に多く発信されており、法整備や医療製品登録など着々と進めている段階となっており、実用化に至るまでには、もう少し時間がかかる印象です。
しかしながら、プロトタイプ(試料)の作成での活躍を経て、最終製品のプリントにまで活用できるようにと日々模索されています。
今回はそんな3Dプリンターでの小型製品の製造における課題解決や失敗事例についてご紹介していきたいと思います。
小物を作るうえでの3Dプリンターの特徴
3Dプリンターは、小物を効率的かつ、CADの通りにずれなく製造するための優れたツールとして注目を集めています。デジタルファイル(3DCAD)を使って、物理的なオブジェクトを作ることが出来、そのプロセスは従来より簡素化されています。
よって時間とコストの大幅削減に寄与します。
この点においては、小物などを作る専用の3Dプリンター(光造形3Dプリンター)においても同様です。
製品の小型化という着眼点は、ロボティクスや医療など様々な分野で適応されており、より時代のニーズに合った小物を手軽に作ることが出来ます。
家電製品を例にすると、小物の製品市場は、アジアを中心に大きく拡大する傾向であるとされており、2022年から2030年までその成長は右肩上がりであると予想されています。
この観点から、小物の需要が高まる中で、それらを簡易的に具現化でき、顧客のニーズにも柔軟に対応できる3Dプリンターは、より一層価値をつけていくものと推測されます。
製品はなぜ小型になっていくのか
PCを例に挙げると、最近のミニPCはより小型化され軽量化されています。
ミニPCの特徴から考えられる小型化することによって得られるメリットは次の通りです。
高い移動性
小型化されたミニPCは、持ち運びに便利で、場所を取らず、スペースの制限のある場所でも使用できます。 たとえば、ビジネスマンが出張中に必要な場合や、スペースの限られたオフィスや学校での使用に最適です。
低消費電力
小型のミニPCは、低消費電力で動作するように設計されているため、省エネにも役立ちます。 これは、長時間の使用に適しており、移動中に電源がない場合でも使用できることを意味します。
高効率コアの搭載
最新のミニPCには、高効率コアのみで構成されたCPUが搭載されています。これにより、低消費電力で高速動作し、省電力であるため、より長時間使用できます。
以上の理由から、小型化されたミニPCは、高い移動性、低消費電力、高効率コアの搭載などの優れた特性を備えており、ますます多くの人々に支持されるようになっています。
小型のものを造形できる光造形方式
小型のものをプリントできる技術というと、光造形3Dプリントが主流です。光造形の3Dプリンターには、SLAとDLPという造形方式に大別され、より小型で早い造形を実現したものがDLP技術になります。弊社オルテコーポレーションで採用されている3Dプリンターは、このDLPの高速かつ精密な機能を取り入れつつ、最大造形サイズを大きくしたものになります。
イメージとしてはマッチ棒の先端部分くらいのサイズより小さいものから、大人の男性の手のひらにフィットするくらいのサイズ感でプリントすることが可能です。
精度の高いものがいくつか存在します。弊社の3Dプリンターも2μmとその一つとなっています。
3Dプリンターで小物を作ったときの失敗事例
3Dプリンターを使っていると、オーバーハングが荒い、スカスカな造形になってしまうなど、さまざまな失敗事例が発生します。ここでは、その中でもよくある失敗事例と、それぞれの対処方法について紹介します。
プラットフォームテーブル(ベッド)から剥がせない
いくつかの原因によって「テーブル(ベッド)から造形物が剥がせない」という症状が起きます。以下の記事を参考に、原因と対処方法を確認しましょう。
ベッド面が汚れている プラットフォームテーブル(ベッド)の表面が汚れていると、造形物がしっかりと接着しないことがあります。表面を清掃しましょう。
ベッド面が平らでない 3Dプリンターを長く使用していると、ベッド面が歪んでしまうことがあります。この場合は、ベッド面を研磨するか、ベッドを交換する必要があります。
以上が、3Dプリンターによくある失敗事例と、それぞれの対処方法についての紹介です。失敗事例が起きた場合は、上記の対処方法を参考に、問題を解決していきましょう。
光造形3Dプリンターで小物を造形する方法
最近では、高精度な3Dプリンターが普及してきたことで、小さいものでも簡単に造形することができるようになりました。FDM方式の3Dプリンターではノズル径以下の小さいモノは作れませんが、光造形ではその概念を打開できます。しかし、小さいものを作るためにはいくつかのコツが必要です。以下に、小さいものを造形するためのコツをまとめましたので参考にしてみてください。
解像度を上げる
DLPやLCD方式では光源の解像度が高いほど、またSLAならばレーザー光のサイズが小さいほど精細なものが造形できます。また解像度が小さくなる分造形するのに時間が掛かり、一般的に光造形の場合は面照射するDLPやLCDの光造形方式よりも、点照射するSLAの方が時間を要します。また解像度が高い方が機種のコストは高くなります。
積層ピッチを小さくする
積層ピッチとは、1層あたりの厚みとなります。小さいものを作る場合は、積層ピッチを小さく必要があります。
まとめ
今回は、3Dプリンターを使用して小さな製品を作成する上での課題や解決策について説明してきました。3Dプリンターの利点である効率性や精度の高さに加え、様々な分野で小規模な製品設計の利点があります。また、3Dプリンティングの一般的な失敗事例への対象方法をもとに、良質な製品を設計するために試行錯誤していきましょう。これらのガイドラインに従うことで、みなさんは高品質で正確で詳細な小さな製品を作成することができます。