3Dプリンターは、その多様性と精密性から各種業界で広く利用されていますが、あらゆる形状を適切に造形できるわけではありません。一部の形状は造形が難しく、また光造形3Dプリンターにも特有の問題が存在します。この記事では、一般的に造形が難しい形状や、光造形3Dプリンターが苦手とする形状などを詳細に解説し、それぞれの対処法についても紹介します。これを読めば、3Dプリンターの可能性を最大限に引き出すためのヒントを得ることができます。
一般的に3Dプリンターで造形しにくい形状
一つ目はYHT形状です。これは、Yのような斜めの形状、Hのように分離した部品を橋で結びつける形状、そしてTのように空中に水平に伸ばす形状のことを指します。
次に、滑らかな面の作成です。3Dプリンターによる出力は一般的に層が見えるため、滑らかな表面を作り出すことは一筆書きであるかのように難しいです。
さらに、内部に空洞や横穴を持つ形状は、サポート材の除去が難しいことがあります。これは、内部に達するのが難しく、また、サポート材がありますと完全に取り除くのが難しいためです。
また、プラットフォームテーブルに強くくっついてしまう形状や、大きい造形物が自重によって落下してしまう形状もプリントの際に注意が必要です。他にも、薄い壁や内部に空洞を持つ形状、複雑な幾何学的形状があります。
光造形3Dプリンターの苦手な形状
光造形3Dプリンターは、その精確な造形能力と高い柔軟性により、多くの業界で活用されています。
一般的に造形しにくい造形物に加え、光造形特有の造形しにくい形状があります。この造形しずらい形状はFDMなどの別の造形方式にもみられるもので、各造形方式ごとに、苦手とする形状が異なってきます。これらの問題を理解し、適切な対応策を講じることで、より良い結果を得ることができます。
カップ形状の造形物は、空気圧の影響でゆがみやすいという問題があります。これは空気穴を開けるか、プリント方向を斜めにすることで改善できます。
サポート材が必要な形状は、サポート材を取り除いた後に跡が残ることがあります。これは研磨やブラストで仕上げるか、直接プリントすることでサポート材の使用量を減らすことで対処できます。
脆く、欠けやすい形状は、強度が不足するという問題があります。これは高強度の材料を使用するか、切削加工などの後加工を行うことで精度を高めることで対応できます。
厳密な寸法精度が求められる形状には、積層による精度のばらつきが問題となります。これは許容範囲を設定するか、厳密な精度(±10μm程度)が必要ない造形物に使用することで対処できます。
また、オーバーハング形状(物体が宙に浮いている部分)を製作するのは苦手としています。大きなオーバーハングをサポート構造なしで作成するのは光造形3Dプリンターでは困難です。その理由は、樹脂が硬化するまでの間に流動性を保持し、その結果、重力の効果で下方向に落下してしまうからです。
他には、ブリッジ(ある二つのポイントを横断する構造、橋のような形)を光造形3Dプリンターを使用する際、このブリッジを実現するためにもサポート構造が不可欠です。なぜなら、樹脂が完全に硬化するまでの間、その形状を維持することが難しいからです。
サポート材なしで光造形で造形する方法
光造形3Dプリンターは材料を吊り下げて使用しますが、形状によってはサポート材を使用せずに造形することも可能です。特に、オーバーハングやブリッジがなく、積層しやすい形状の場合には、サポートなしでの造形が可能となります。
まとめ
3Dプリンターは、その多様性と精密性から様々な産業で広く利用されていますが、その中でも造形が難しい形状が存在します。一般的な3Dプリンターや光造形3Dプリンターが苦手とする形状を理解し、適切な対策を講じることで、より良い造形結果を得ることが可能です。複雑な形状の造形には困難が伴いますが、それぞれのプリンターの特性を理解し、適切な手法を選択することで、これらの問題を克服することができます。これにより、3Dプリンターの可能性を最大限に引き出し、より優れた製品を生み出すことが可能となります。弊社の光造形3Dプリンターでは数ミリ単位の幾何学的な形状の造形を強みとしています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。