解像度というとディスプレイ画面の鮮明度、走査線の密度や画面を構成する画素数を真っ先に思い浮かべる人が多いでしょう。
では3Dプリンターにおける解像度とはいったい何でしょうか?
3Dプリンターとは簡単に言うと、XY平面とZ軸の分解能で小さくあればあるほど小さい部品を積層造形できる機械です。
4Kや8Kと高解像度スペックをアピールしている3Dプリンターが増えています。この4Kや8Kというのは造形物ではなくて、光源の解像度を表しています。つまり光造形の場合、基本的には造形物の出来映えは光源の解像度に比例します。
しかし解像度が高く、微細な造形物を考える上ではいくつかの点に注意する必要があります。
解像度は精度や正確さではない
「解像度」「精度」「正確さ」はしばしば同じ意味で使用されることもありますが、3Dプリンターにおいてそれぞれの単語の意味は区別する必要があります。
ダーツゲームを例に説明すると、「正確さ」とはダーツの的(ブルズアイ)の中心に近いことです。
「精度」とは毎回同じ位置に命中すること、つまり再現性です。
下の図のように、精度と正確さは4つのケースが考えられます。
では「解像度」はというと、✕自体の大きさをイメージしてください。
✕が小さいとより小さい範囲にダーツが刺さります。逆に大きいと先に刺さっているダーツが邪魔して拡がるしかありません。
いずれもターゲットの的を射ることができていますが、高い正確さと高い精度がある場合のみ勝利します。
3Dプリンターの解像度
光源の解像度ではなく、3Dプリンターの解像度は、造形物のXY平面の解像度とZ軸方向の積層ピッチの細かさに分かれます。
機種のスペック表で光源の解像度と3Dプリント造形物は完全に連動するように理解できます。
光造形においては同じ解像度の光源でも大きいものを造れる装置はレンズによりピクセルサイズを拡大し、逆に絞ると綺麗にはなりますが、大きいものを造ることはできません。
プロジェクターを使ったことがある人は思い出して欲しいのですが、スクリーンから、遠く離れた場所から投影すると 映すと暗く粗くなり、逆に本体をスクリーンに近づけると明るく鮮明になります。つまり同じ光源を使っても像は違ってきます。
さらに、温度湿度などの環境、材質(レジン)、ソフトウェア(スライサー)などの影響は無視できません。3Dプリンターにおいて造形物の質を左右する要素は光源だけではありません。
高解像度3Dプリンターで重要なこと
各メーカーから販売されている、フラッグシップモデルの3Dプリンターは、そのメーカーの中で最もきれいに造形ができることには間違いがありませんが、他のメーカーと比べているわけでは無く、耐自社の機材に対して高解像度モデルとされています。
加えて、3Dプリンターには造形方式による出来映えの違いがあることも忘れてはいけません。
3Dプリンターの造形技術における解像度
溶融積層造形法(FDM)
熱で溶かした樹脂を押し出し機の細いノズルから出力させながら一層ずつ重ねて造形していきます。
基本的にはノズルの直径が解像度を決定します。
ステレオリソグラフィー(SLA)
UV光を液体樹脂にレーザー状に照射しながら硬化させる光造形方式で、UV光のビームのスポットサイズが解像度を決定します。
投影型光造形法(PμSL)
DLP(面露光タイプの光造形)の改良技術でUV光のフラッシュで液体樹脂の層全体を急速に光重合させ、プロジェクターの解像度が解像度を決定します。
業務用3Dプリンターを評価する方法
現在、3Dプリンター業界が顧客に分かりやすく説明できる、標準化された評価基準を持っていません。
スペックの低いPCが異なるメーカーのスペックの高いPCに処理速度で勝つことがあるように、スペックのみが全てではありません。
実際の評価は実際に動かしてみないと分からない部分も多く、アウトプットがハードウェア、オペレーティングシステム、アプリケーションなど様々な要素に左右されるということを理解しておくことが大切です。
具体的には下記ご確認ください。
・企業に話を聞く
・サンプルパーツを確認
・ベンチマークモデルを依頼する
・デザインガイドを探す