「微細な美しさ」セラミック歯を造る3Dプリンターの精密な技術

セラミック 歯
技術解説最先端情報業界|医療製品|3Dプリンター目的|コスト削減

世界で金属の3Dプリンターの導入が加速する中で、同時に強度や性能だけではなく、見た目への配慮という面で、セラミックの3Dプリンターも注目を集めるようになってきました。

金属3Dプリンターはまだ従来の加工方法に比べると高価であることに変わりはありませんが、それでも微細部品や複雑な構造を形どるには非常に利便性に優れています。

リリース当初から改良がなされ、金属3Dプリンターは強度が増し、金属特有の伸縮性を生かした造形が可能です。

しかしながら金属よりも軽量で見た目をよくしたい、長寿命化したいというユーザーのニーズもあり、セラミックの利用を検討するユーザーも一定数いるのは確かです。

今回はそんな見た目と強度の両者の視点が如実に表れる、歯科医療の治療事情について取り上げていきたいと思います。

歯科医療で進む金属3Dプリントとセラミック3Dプリント

歯科医療では銀歯とセラミックを利用した治療方法が大きく注目されていますが、これらにはまず、保険適応かどうがという違いがあります。

銀歯(金銀パラジウム合金)については従来の一般的な歯にかぶせもの(クラウン)をする方法で、保険が適応されます。

しかしセラミック治療は先進医療ということもあって、現在は保険の適応外です。

他にもゴールドや強化プラスチックを扱う保険適用外の治療方法もありますが、見た目や強度面の一般的な違いとしては、金属とセラミックの比較が最もわかりやすいでしょう。

金属を使うと、銀色の部分がそのままあらわになってしまうので、口を開けたときに知慮された部分がすぐに虫歯だった場所と分かってしまいます。

そのため見栄えが悪いと思われる方もいらっしゃいます。

対してセラミックは保険適応外ではありますが、基本的に歯に近い色合いで、色が同化してわからないので、自然な歯のように見えます。また、非金属であるセラミックは、金属アレルギーの人にも対応できるという長所もあります。

また、現在では3Dプリンターの登場により、金属でもセラミックでも、歯の矯正器具や患者に合わせた義歯の製作、歯の部分的な治療が可能になりました。

歯科専用3Dプリンターも登場するほどで、その積層ピッチが10μmほどにのぼります。

非常に精巧に作れ、精度のレンジが広いからこそオーダーメイドに迅速に対応できる部分は、日常での不便さを真っ先に解消してくれる便利さを持っているともいえます。

それぞれの3Dプリンターの治療の役割

ここでは金属とセラミックの2つの3Dプリンターが歯科業界でどのような治療方法の過程で使われているのか、未来への可能性などについてご紹介します。

歯科医療における金属3Dプリンター

歯科医療分野において、金属3Dプリンターがますます重要な役割を果たしています。歯科用金属材料を使用する3Dプリンターは、高品質で複雑な金属部品を3D CADデータから造形することができます。このテクノロジを用いることで、翌日交換用RPD、クラウン、ブリッジ、インプラントバーなどの補綴物を製造することができます。

ダイレクト金属プリンティングは、金属粉末粒子をレーザーによって素早くピンポイントで照射し、完全に融解することで積層していきます。接着剤や結合剤液を使用することなく、新しい材料が積層済みの層にしっかりと付着します。この方法を使用することで、金属部品を迅速に製造することができます。

歯科医療用金属3Dプリンターの小型機「EOS M 100 Dental」は、形状再現性と操作性に優れたコンパクトな金属粉末積層造形システムです。患者の個々の歯の3次元データを元に高精度なクラウン/ブリッジを一度に大量製造することができます。材料によって持つ本来の特性を維持した造形が可能で、高品質な造形をコンパクトな筐体で実現します。また、専用ソフトウエアによる効率的な造形により、アイドル時間の最小化が実現されます。

歯科医療におけるセラミック3Dプリンター

セラミックの3Dプリンターは、高い耐久性や自然な歯の色合いを実現できます。

セラミックは、無機物系を焼き固めた焼成物を指します。従来のプラスチック素材(レジン)による修復治療では、経年と共に素材の変色や着色、劣化や破損、摩耗の可能性があります。しかし、セラミックの場合は、これらの心配がほとんどありません。また、アレルギーの心配も限りなく少なく、セラミックの表面は非常に滑らかなため、プラークが付きにくく、食器などにも用いられてきました。

主にセラミックの歯科医療は以下のような利点があります。

高い精度での治療が可能

3Dプリンターを用いたセラミック治療では、CAD/CAM技術により高い精度で治療が可能です。歯科技工士の手作業による治療では、微細な調整が必要であったり、被せ物の密着度が十分でなかったりすることがありましたが、3Dプリンターを用いることで、被せ物の密着度が高く、治療後の歯の感触も自然なものに近くなります。

治療期間が短縮される

従来の治療では、被せ物を作るために何度も通院する必要がありました。しかし、3Dプリンターを用いた治療では、被せ物を1回の通院で作成し、装着することができます。このため、治療期間が短縮され、患者の負担が軽減されます。

高い審美性が期待できる

3Dプリンターを用いたセラミック治療では、自然な歯の色合いや輝きを再現することができます。また、セラミックの表面は非常に滑らかでプラークが付きにくく、口腔内の清潔を保つことができます。このため、高い審美性が期待できます。

セラミックの耐久性が高い

セラミックは、金属を使わずに作られるため、金属アレルギーや歯肉の黒ずみなどの心配がありません。また、セラミックの3Dプリンターで作られた被せ物は、耐久性が高く、長期間使用することができます。

金属を使うことによるメリットとデメリット

従来の治療方法なので、保険が適応されます。歯の寿命としては、銀歯の寿命は5~7年ほどで、治療が完了しても、メンテナンスが必要になります。

また金属素材は靭性(素材の強さ)が高いという特徴もあります。そしてセラミックと違って延性があり、破断点まである程度余裕があります。

セラミックを使うことによるメリットとデメリット

保険が適応されませんが、結論として見た目が自然の歯に見えること、ある程度の硬度が保障されることです。またセラミックの歯の寿命は10~20年ほど持つため、金属の2倍以上継続して義歯や治療済みの歯を使うことが出来ます。保険が適応されないとはいえ、そのパフォーマンスは非常に高く、こちらが保険適応になると非常にメリットが多い治療方法と言えます。

しかしながら、セラミックは大きな衝撃に弱いため、咬み合わせが強いと割れてしまうリスクがあります。 咬みあわせを十分に配慮した設計が必要です。

補綴物は銀歯とセラミックはどちらがおすすめ?

虫歯治療後、歯に詰め物をする際には、保険適用の銀歯にする方も多いですが、金属の詰め物とセラミックにはどんな違いがあるのでしょうか?

銀歯は保険適用の代表的な詰め物です。銀合金が主成分で、耐久性や耐蝕性に優れるため、歯科医療でよく使われる素材の一つです。何よりも、保険適用なので安価に治療できます。しかし、銀歯は表面に歯垢などの汚れがつきやすく、歯周病を起こしやすいというデメリットがあります。また、金属アレルギーを起こすことがあるため、ヨーロッパ諸国では使用禁止になっています。日本では金属アレルギー対策としてプラスチックが使われることもありますが、こちらも保険適応外となります。

金属に対してセラミックは耐磨耗性が高く、経年劣化が少ないため、長期間変わらない状態で使用することができます。色調を調整できるため、歯に馴染んだ色調で作ることができ、審美性に優れます。また、金属アレルギーを起こすことがなく、汚れがつきにくいため、歯周病や周囲の歯の虫歯のリスクを低くできます。ただし、セラミックは割れやすいため、歯ぎしりや食いしばりのある方には不向きです。

どちらを選ぶかは、患者さんのご希望や症例によって異なります。前歯にはセラミックが適している場合が多いです。歯ぎしりや食いしばりがある場合は、金属の詰め物をおすすめします。また、保険診療と自由診療での治療費の違いもありますので、担当医とよくご相談ください。

詳しいセラミック歯科医療の料金はこちらに書かれています

オルテでも取り扱っているセラミック3Dプリンター

セラミック材質は歯科医療だけにとどまらず様々なエレクトロニクスの分野でも活躍し始めている、比較的新しい素材です。脆さの部分での課題はありますが、これらの対策をうまく練ることによって、耐久性や腐食に優れ、見た目も綺麗な製品へと生まれ変わります。

このような硬質の素材を加工することは従来では難しかったのですが、現在では3Dプリンターの登場により、硬質な素材を精密な設計の製品に充てることが可能となりました。

研究は世界各地で日々行われています。

まとめ

今回は歯科医療における金属3Dプリンターとセラミック3Dプリンターについて紹介してきました。金属3Dプリンターは、高品質で複雑な金属部品を3D CADデータから造形することができ、翌日交換用RPD、クラウン、ブリッジ、インプラントバーなどの補綴物を製造することができます。セラミック3Dプリンターは、高い耐久性や自然な歯の色合いを実現できます。セラミックの場合は、耐久性が高く、長期間変わらない状態で使用することができ、歯に馴染んだ色調で作ることができます。また、汚れがつきにくく、歯周病や周囲の歯の虫歯のリスクを低くできます。ただし、セラミックは割れやすいため、歯ぎしりや食いしばりのある方には別途対策が必要です。

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