2024年の半導体市場は、前年比で13％増加し、約6497億ドル（約91兆円）に達すると予測されています。この成長は、AIや電気自動車などの新しいアプリケーション市場の拡大、新型コロナウイルス感染症による世界的な感染拡大に伴う在宅需要の増加による家電製品の買い替えサイクル、そしてMicrosoftの次世代OSへの期待といった要素の組み合わせによって達成される見込みです。
日本の半導体産業は世界でどのくらいシェアを持っているのか
1980年代後半において、日本の半導体産業は全世界の半導体市場の半分以上の50.3％を独占していました。しかし、その後数十年にわたり、日本の半導体産業はシェアを失い、2019年には世界全体の半導体市場のわずか10.0％を占めるにとどまりました。 一方で、日本は半導体製造装置の市場においては世界の31％のシェアを維持し、主要な半導体部品の市場では世界最大の48％のシェアを誇っています。これらの統計から、日本の半導体産業が世界的に見ても重要な立場にあることが示されています。それにもかかわらず、最先端の半導体製造技術については、日本は努力を重ねて台湾や韓国などの世界リーダーに追いつく必要があります。
SBIと台湾PSMCの半導体工場設立はどこになるのか
SBIホールディングスとPowerchip Semiconductor Manufacturing Corporation（PSMC）は、日本で半導体工場を共同建設するために、準備会社の設立に基本的な合意に達しました。この取り組みは、2021年に日本政府が開始した半導体とデジタル産業の戦略の一環となります。 半導体工場の建設予定地は、宮城県黒川郡大衡村の第二仙台北部中核工業団地となります。この地域は、給水・排水システム、高圧電力、物流インフラの整備、災害への耐性、周辺の生活環境、そして将来的な産学官連携の可能性などを考慮して選ばれました。 この工場では、28nm、40nm、55nmの半導体を月間4万枚のウェハーで生産する計画です。半導体産業の再活性化に向けて、この工場の設立は重要なステップとなります。 工場の建設開始時期や稼働開始時期などの詳細については、具体的な情報が得られ次第、改めて発表される予定です。第一期の稼働は2027年を目指しています。
SBIとPSMCの半導体工場はどんな製品を作るのか？
半導体は自動車や産業機器などの製品で広く使用されることが予想されています。
PSMCは特に、車載向け半導体需要の90％以上を占めるとされる28nm以上の半導体を、高品質かつ低コストで大量生産するビジネスモデルを持っています。このことから、日本だけでなく世界の半導体供給の安定化に寄与することが期待されています。
この工場の設立は、日本の半導体産業の復興に向けた重要な一歩となるでしょう。具体的な製品や用途については、今後の発表を待つ必要があります。
日本国内で他にも半導体工場があるのか
日本には多くの半導体工場が点在しています。その中でも主要なのは以下のような工場です：
- TSMC（台湾積体電路製造）：TSMCは世界最大の半導体ファウンドリで、熊本県に工場を設立しています。ここで先端の半導体製品が生産されています。
- ルネサスエレクトロニクス：ルネサスエレクトロニクスは那珂工場（茨城県ひたちなか市）と熊本川尻工場を運営しています。これらの工場で主にマイコン、アナログ半導体、パワー半導体が生産されています。
- ソニーセミコンダクタソリューションズ：ソニーセミコンダクタソリューションズはiPhoneのカメラ用イメージセンサを生産しています。
- キオクシアホールディングス：キオクシアは三重県四日市と北上に大規模な工場を持ち、記憶用半導体「メモリー」を生産しています。
- 外資系半導体企業：アメリカのMicron Technology、Texas Instruments、onsemi、台湾のUMCなども日本に工場を持っています。
これらの工場は日本の半導体産業の核となっており、それぞれが新技術の開発や生産能力の拡大に向けて投資を行っています。
日本の2024年時点の半導体の生産量はどのくらいになる？
日本の半導体生産能力は2024年に、前年の460万枚から470万枚へと2%増加する見込みです。この増加は、同年に新たに4つの半導体工場（ファブ）が稼働を開始することによるものです。
一方、半導体材料市場全体としては、2024年には前年比で7%増の740億ドル規模に達すると予想されています。
まとめ
半導体市場の急速な成長と共に、日本の半導体産業は新たな段階に入っています。SBIとPSMCの共同事業による新工場設立は、日本の半導体産業の再活性化にとって重要な進歩となるでしょう。また、新工場設立による半導体供給の増加は、自動車や産業機器などの製品にとって、半導体の安定供給が期待できます。しかし、日本の半導体産業はまだ挑戦が残っており、最先端の半導体製造技術については、台湾や韓国などの世界リーダーに追いつくための努力が必要です。これらの挑戦を乗り越えれば、日本の半導体産業は再び世界のトップに戻る可能性があります。
